スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

幸福の国ブータンの裏側

 中国に行くとどの町にも大小の食堂があり,外食産業が盛んなことに驚く.そして隣のブータンと言うと,申し訳ないが食堂の質も量も決して高いとは言えない.お金を払って外で食事をする,いわゆる外食の習慣が殆ど無い(無かった)ので仕方が無い.

 そんな中で,マイナーで,かつベジのメニューだけなのにユウカも含めて我々をおおよそ満足させてくれるのがホテルブータンスイートのレストラン.

 我が家族,そこのウェイターのワンチューさんと仲がいい.
が,今日新たな発見があった.彼の名はWangchuではなくて実はWangchukさんだったのだ.半年たって始めて知った.Wangchukは歴代の王様の名前の一部で,こちらでは良い名前,と言われる典型.

 しかしこの名前,Wangchuk本人からすると,大げさに言うと屈辱の名前でもあるようだ.
 彼の本当の名前はTura Ram Gurung.ネパール系の名前だ.当然彼の先祖はネパール系.父親は彼の名前をTura Ramと決めた.彼のカーストのGurungが最後について,正式な名前はTura Ram Gurung.Turaはヒンドゥーの坊さんが持つなんやらを意味して(説明してもらったが理解できず),Ramは神を意味する.彼らの民族からすればとても縁起の良い名前らしい.

 そして父親が彼の出生を役所に届けに行き,名前を登録をしようとすると,担当の係が,「その名はやめておけ.代わりにこれにしろ」と言われて登録した(させられた?)名前がWangchukだそうだ.

 今では親も友達もみなWangchukで彼を呼んでいる.なぜ本来の名前を使わないの?と聞くと,この地でTura Ramの名前を使うと多数派のブータン系に笑われる,とのこと.

 食事が出るまでの間,この話しと同時に1990年前後のネパール系の排他政策の話,ネパール系のカーストの話,と興味深い講義を彼から受けた.しかし,彼としては彼の民族,彼の名前についての屈辱の話でもあろう.

 法律で着用が義務付けられていて,そして彼が今日も着ていたゴはブータン・チベット系の服装である.彼本来の民族衣装を着ることはここでは許されない.

 国民の98パーセントが幸福と感じているブータン,とよく聞くが,その数字の真意,その数字の意味するもの,が何なのか考えさせられてしまった.

 帰り際,ゾンカ語で「また今度ね」と挨拶した.ナバナンセジェゲ,というその言葉,便利でブータン人に受けもいいので,日頃から多用していたのでつい出た言葉だ.しかし,今日はそれを言った後に一瞬とまどった.本来の名前が使えずに,本来の服が着られない,しかも先祖からの言葉もあまり使うことの無い彼や彼のようなネパール系の複雑な心境が幸福の国ブータンの裏側に沢山あることを考えてしまった.

 ちなみに,彼の講義によれば,ネパール系のカーストは上から
Chattri, Kaflay(Bown), Subba, Tamang, Gurung, Rai, Kami, Damai
だそうで,最後の二つは最低位のカーストで,もしGurungである自分がKamiの家系の女性と結婚したら,恐らく親からは勘当される,とのこと.

そう言えば,下の二つのカースト以外の名前の知り合いは思い当たるが,Kami, Damaiという名前は聞かない.
関連記事

コメント

非公開コメント

No title

ご無沙汰しております!たまに拝見させていただいております!
幸福の裏側についてちょっと考えさせられました!

話は若干変わっちゃいますが、
日本では昔からのCMの
「幸せ~って何だっけ♪何だ~っけ♪うまい醤油がある家さ♪」が
最近またよく流れていますよ!

Re: No title

Chiyo~
久しぶりです.Chiyoが読んでくれてるとなると,もう少しましな文章にしないとね.

そう,醤油,偉大だよね.それに味噌があれば日本人は世界のどこに行っても幸せだ.
プロフィール

jirok

Author:jirok
ブータン地質鉱山局に身をおく一地球人の独り言と備忘録.

 ヒマラヤの氷河・氷河湖問題,山地・気象災害とかってどうなのか.この地が,この社会がなぜできたのか,ブータンは,日本は幸せなのか,我が子はどう育つのか,興味の相手はつきません.

試しに↓ポチッとお願い.
にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村 科学ブログへ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
How many?
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
カテゴリ
月別アーカイブ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。