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片山右京氏と同僚の遭難


片山右京氏が富士山南東斜面を登山中,仲間二名が遭難.

ニュースを見て驚いた.
現場は,ここ数年らい雪崩の調査をしている場所である.これまでに最もたくさん通ている斜面である.

去年の12月22日に発生直後の雪崩を調べに行った時は,寒さと強風でマジメに身の危険を感じた.ヤバイ,ことによっちゃ死ぬる!って思った.

こぶし大の氷片やスコリア(マグマのしぶきの固まったもの.ココの場合1707年の宝永噴火の堆積物)が,横殴りにバンバン飛んでくるし,斜面に四つんばいになって,身を低くしないと飛ばされる.なんとかして地形のくぼみに逃げ込んだ.風速20m/sは余裕で超えてたはず.単独だったし,家族の顔が頭に浮かんだのでとにかく逃げ帰ってきた.

世間にはあまり知られていない(気づかれていない)が,ここは間違いなく東京から最も近く,短時間で冬山の楽しみを味わえる場所.都心から1.5時間で到達できる雪山なのだ.
安・近・短で本格的な雪と寒さを味わえるので娘が雪遊びできるようになったらまずは連れて行きたいと考えている場所(火山学的にもおもしろい)なわけだが..

その一方で,東京から最も近くして冬山・極寒の恐怖を感じられるところでもある.

今回の場合,二人の入ったテントが飛ばされたわけだが,気圧配置としては同じ条件.日本海の低気圧が抜けて,西風が強くなり,遠目にはすっきりと晴れ渡ったきれいな富士山だったはず.現地は遠目と違って過酷な世界になってるわけだが.

気象庁のデータを見ると,一昨日から今日の富士山頂は-20~25度.藤村(1971.富士急の報告書)に基づき換算すると,この時期の富士山南東部の気温減率は7度/km.とすると,現場は恐らく-10~-15度.風速30m/sとして,体感温度は-40度を下回ったに違いない.

ただ,この時期,毎日富士山ではこんな天候かというと,そうではない.ネットを見ると,こんな天気はこの時期の富士山では普通とする意見もあるが,実は普通ではない.

グラフは過去4年間の10月以降の山頂の日平均気温.一昨日から今日までの寒波は12月中旬としては最も厳しいものだってことがわかる.気圧配置としては月に2,3日あるような強い西風と寒波の日で,なおかつこの時期としては数年来の強度の冬型であった,てことになる.

しかし,そんな天気にあたってしまった片山氏を不運だった,とはけして思わない.「寒波が来ることを知らずに入った」というのだから,ってことは天気図を見ずに入山したわけだから.これはアリエナイ.

6千mを超える山をいくつも登っている登山家,というけど,大所帯で多くが極地法登山,かつ十分なスポンサーのついた商業的海外遠征,かつその主役として担がれてきた彼には,天候に配慮するなどという下地~な部分を気にする必要はこれまでなかったのかもしれない.

ついでに言うと,現地であの天候に身をおいて,自分より体力のない者と別行動したこと,富士山のあの斜面でビバークしたこと,この二点も過ちだったのではないか.

しかもビバークするにもあの斜面であれば2200m地点にコンクリの小屋の跡があり,風下は雪洞を掘れる吹き溜まりになる.それはわかってたのだろうか.

とにかく,遭難したお二人のご冥福を祈り,またこの事故は今後の自分への戒めにしたい.

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jirok

Author:jirok
ブータン地質鉱山局に身をおく一地球人の独り言と備忘録.

 ヒマラヤの氷河・氷河湖問題,山地・気象災害とかってどうなのか.この地が,この社会がなぜできたのか,ブータンは,日本は幸せなのか,我が子はどう育つのか,興味の相手はつきません.

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